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どうもの文化  奥行きのある文化

どうもの文化  奥行きのある文化

 日本語には、曖昧な表現の言葉がたくさんあります。その代表的な一つが「どうも」という言葉です。「どうもありがとう」、「どうもすみません」、どちらも「どうも」と一言で表現することができますが、前者は感謝を、後者は謝罪の気持ちを示す「どうも」です。「どうも」という同じ言葉が全くの別の意味になっています。「どうも」は指示用語「どれ」から転じた「どう」に「も」がついたものと言われています。不確定な要素を含んだ「どうもうまくいかない」、「どうもそうらしい」などのような使い方が本来の用法でした。この言葉の曖昧さは、断定を避けたい状況や詳細を省くときには便利で、日常でもよく耳にする言葉です。ところが国際化時代の現代には問題の生じかねない言葉です。
 
 「どうも」をはじめ曖昧な言葉は、場合によっては適切でないこともありますが、言葉のもつ良い意味での曖昧さは、見えないものを見、聞こえないものを聞くような奥行きのある文化に繋がるものでもあります。国際化の現代にあっても、独自の文化として後世に残したいものです。

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