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桶と樽の違い

桶と樽の違い

 桶と樽は、どちらも木でできていますが、用途が違います。桶は水を汲む道具として使われ、樽は酒や醤油などの液体を貯蔵したり運搬したりするために用いられます。ですから、樽には、液体を漏らさない水密性という機能が求められます。一方、桶は例えば風呂桶などを考えるとわかりますが、水を汲むのに使用するだけで長時間にわたって溜めることはしません。桶に必要な機能は、道具として狂いがなく長く使うことができることです。  丸太から桶や樽の側板を作るとき、中心部を通って縦に割ると板の表面に年輪が縦じまとして表れ、これを柾目(まさめ)と呼びます。丸太の中心を外れた外側を縦に割ると、板の表面には等高線のような模様が表れますが、これを板目(いため)と呼びます。柾目は狂いが生じにくく、板目は湿度等によって膨張・収縮し、液漏れを起こしにくいのです。狂いのない機能が求められる桶には柾目が使われ、水密性を要求する樽には板目が使われるのです。  桶と樽の違いは、その用途が異なり、そのために使用する木材の割り方にも違いがあるのは面白いですね。  *桶や樽を作るときに、側板を丸く組んだ周囲に、竹を割いて編んだ輪をかけます。これが「たが」です。この「たが」がしっかり締まっていないと、側板がバラバラになって役に立ちません。 これになぞらえて、感覚が鈍ったり、気持ちや規律が緩むことを「たがが緩む」と言います。「たがが外れる」も、桶や樽の「たが」が外れてバラバラになる様子を秩序がなくなることや羽目を外すことに例えたものです。 Mariko

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