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芭蕉とバナナ

芭蕉とバナナ

 江戸時代の俳人松尾芭蕉は伊賀上野の下級武士の家に生まれ、名は宗房と言いました。俳諧の仲間に入り、その頃の雅号は桃青でした。芭蕉という名前を名乗るようになったのは、江戸深川に庵をもつようになってからのことです。庵に弟子の一人が植えた芭蕉が生い茂り、いわゆるシンボルツリーとなったために、この雅号を用い芭蕉と称しました。

 バナナ(banana)はインド原産の果実の俗称ですが、熱帯地方に栽培され、世界中に輸出されていますから、知らない人はありません。けれども、バナナが普及していない江戸前期には、バナナと植物の芭蕉を正しく結びつけて考えることのできる人はほとんどいなかったはずです。植物学的には、バナナは実芭蕉(ミバショウ)で、芭蕉とは別種に分類されています。けれども、一般的にはこれらすべてが芭蕉の仲間あるいはバナナの仲間と考えられています。

 蛇足ですが、アメリカの俗語でバナナと言えば、日本人の二世・三世のことを指します。それは、皮は黄色ですが中は白いバナナの形状になぞらえて、皮膚は黄色いけれども、中身は白い(物の考え方や暮らしぶりなどのすべてが米国人と同じ)からだそうです。

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