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里山  (ふる)里でもあって山でもあって・・・

里山  (ふる)里でもあって山でもあって・・・

 近年里山という言葉がよく使われますが、辞書にはまだあまり登場しない用語です。1966年、京大の名誉教授の四手井綱英氏が「北方林業」193号で初めて使用しました。農家の近くの丘や平地の林は薪や炭を得たり、緑肥や落ち葉を堆肥に利用したりして広く農業や生活に関わってきました。厳密には炭焼きなどは近所の丘陵地の私有林でなく、現在の里山の範疇には入らない奥山、財産区に属する公有林で行なわれていました。

 里山という言葉は、人里近くのさまざまな植生の複合体の呼称として、何の抵抗もなく受け入れられる良い呼び名だと思います。さとの意味は山芋と里芋の呼称の歴史をみればよく分かります。ヤマイモは奈良時代にはウモと呼ばれていました。一方のサトイモは熱帯アジア原産で、日本に取り入れられた当時はイヘツウモ(家つ芋=家の芋の意)と言われていました。これが室町時代以降に里芋と呼ばれるようになったのです。また、 “さとにかえる”“おさとが知れる”などと使われるように、里という言葉の原点は家そのものを意味するようです。家のあるところが人里で、これから離れたところが山なのです。

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