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水ボール「Ooho!」を作ろう

  • 水ボール「Ooho!」を作ろう

材料

食用アルギン酸ナトリウム・乳酸カルシウム,ハンドミキサー(100円ショップ商品可),ボウル,ビーカー(カップ),食用色素,さじ,製氷皿,すくい網,

内容

・水ボール「Ooho!」を作る。
・アルギン酸ナトリウムと乳酸カルシウムを反応させる。
・アルギン酸カルシウムの膜ができて,内部に水を入れておけるようになる。

詳細

 ロンドンの学生達が考案したという,持ち運べる水ボトル「Ooho!」を作ってみましょう。コンセプトは,ペットボトルの代わりに水を入れて持ち運べるうえ,それ自体も食べられるので,ペットボトルゴミの削減ができるというものです。

 材料は人工イクラと同じでOKです。食用アルギン酸ナトリウム1gを水200mlにハンドミキサーを使って溶かします。溶けにくいので,時間をかけて完全に溶かします。食用色素で着色し,泡が消えるまで静置します。その間に,乳酸カルシウム5gを水800mlに溶かします。アルギン酸ナトリウム水溶液をレンゲなどに注ぎます。ボウルの乳酸カルシウム水溶液の水面スレスレにレンゲを近づけ,クルッと90°回転させて液を落とし,すぐに縁で液を切るようにしてレンゲを元に戻します。間髪入れず,乳酸カルシウム水溶液を別のスプーンなどで落としたアルギン酸ナトリウム水溶液のかたまりにそっと数回浴びせます。こうすることで,丸いかたまりにすることができます。勢いが強かったり,浴びせるのが遅かったりすると,形がいびつになります。かたまり同士がくっつかないよう気をつけて,何個か作りましょう。5分間ほど液をそっとかき混ぜます。時間が短いと,膜が薄くなります。すくい網ですくって水洗いしたら出来上がりです。

 アルギン酸ナトリウム水溶液がかたまりになる理由は,人工イクラと同じです。アルギン酸カルシウムの膜ができて内部にアルギン酸ナトリウム水溶液が閉じ込められます。この水ボール「Ooho!」を手のひらに取ると,プルプルしていますが,指先で軽く押さえても潰れません。口に含んで噛み潰すと,中の液があふれ出ます。膜はグミのように丈夫です。液の方はアルギン酸ナトリウム水溶液なので,独特の味がして美味しいとは言えません。容器としての強度や衛生面,中の液の味から判断すると,残念ながらペットボトルレスにはなりそうにありません。しかし,触感はプルンプルンで人工イクラよりずっと心地よく,大きいものも作れるので楽しくなります。

 発想の転換で,味がもっと美味しくなる実験も追試してみましょう。アルギン酸ナトリウム3gを水800mlにハンドミキサーを使って溶かして泡がなくなるまで静置します。その間に,乳酸カルシウム1.5gを水200mlに溶かし,食用色素で着色したりカルピスなどで味をつけたりします。このように,2つの水溶液の役割?を反対にする,つまり,アルギン酸ナトリウム水溶液に乳酸カルシウム水溶液を入れるのです。これでも境界面に膜ができそうです。しかし,後者がサラサラしているので,丸いかたまりにはなりません。そこで,乳酸カルシウム水溶液を製氷皿などに入れて凍らせます。こうしてかたまりにすると,融ける外側から反応が進んでアルギン酸カルシウムの膜が作られます。後は,中の液体が融けてしまうのを待つだけです。

 コツは,凍ったかたまりが融け出す前に,ポトンとボウルのアルギン酸ナトリウム水溶液に落とし込み,かき混ぜないことです。何個か作る場合は,互いにくっつかないようスプーンでそっと離すようにします。ときどきそっと回転させながら,完全に融けるまで待ちます。融けたらすくい網ですくって水洗いしたら出来上がりです。

 オリジナルより膜が薄く,元祖「Ooho!」よりずっとプルンプルンした水ボールになります。強度は劣りますが,中身が乳酸カルシウム水溶液なので,味は問題ありません。

 水ボール「Ooho!」は作って楽しいだけでなく,飲んだり食べたりする目的で開発された実験です。ただ,衛生面で心配があるので,個人の責任で作る場合以外は食べない方が良いでしょう。食用色素といえども,食することは積極的に推奨されていないようです。ここで着色したのは,透明だと,どのような形になったか分からないからです。カップなどに入れてしばらく置いておくと,色素が染み出して透明になることがあります。また,室温で放置しておくと,カビが発生することもあります。ですから,作り終わったら早めに処分する方がよいと思います。 関連実験(あわせて、こちらもどうぞ) 人工イクラをたくさん作ろう

基本情報

分野 分野2 育てたいもの 管理番号 季節 場所 難易度 危険度
化学 化学反応 環境 探究心 787 春夏秋冬
春夏秋冬
室内;
室内
普通
普通
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