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オイラーディスクの不思議を探ろう

  • オイラーディスクの不思議を探ろう

材料

鉄製の円盤(ユニクロメッキ)

内容

・鉄の円盤を回して遊ぶ。
・回転中に指で押さえたり,盤面の状態を代えたりする。
・不思議で意外な現象を楽しむことができる。

詳細

オイラーディスク(オイラーの円盤)は,外国製の科学おもちゃです。鉄製の円盤が回転するのですが,止まりそうになってから予想以上に回り続け,最後にストン!と小気味好く止まります。その意外性に,誰もが驚く完成度の高い玩具です。 本物は大変高価で,子ども達が手軽に楽しむことはできません。身近なガラス製のペーパーウェイトでも,同じような動きを見ることができました。縁の丸みが表と裏で違います。裏の丸みが小さい方で回転させると,20秒ほどで止まりました。しかし,丸みの大きい表の方で回すと,35秒も回り続けました。市販品は3分以上も回り続けるので比べ物になりませんが,縁の丸みは,大きい方が良いようです。 鉄工所で,市販品のような形状の鉄製の円盤(ディスク)を切り出してもらいました。縁は少し削って(0.5Rほど)もらいました。直径・厚み・重さ・回転時間は,78㎜・11㎜・411g・25秒,95㎜・13㎜・713g・45秒,160㎜・9㎜・1517g・60秒です。生の鉄のままだと,遊んでいるうちに錆びてきます。毎日のサビ落とし・サビ止めメンテナンスが大変だったので,メッキ加工をしてもらいました。メッキは安価なユニクロで十分で,美しく手間いらずになりました。制作費は3500円程度です。 凹凸のないテーブルなどの盤面で回してみると,小さい方は30秒ほどで止まりましたが,大きい方は約1分間回り続けました。短いようですが,これがちょうど良い加減なのです。市販品が3分間回るのは驚異的ですが,子どもは3分も待てません。回りながら倒れるにつれて,音が大きく高くなるだけでも不思議ですが,回転が速くなっていくように見えます。何も力を加えていないのに,加速していくのが魅力です。傾きが小さくなるにつれて,盤面にかかる力(重さの分力)が大きくなっていくからではないでしょうか。 子ども達は,頬を盤面につけて横から狭まっていく鉄ディスクとの隙間を見たり,指先を立てて振動を楽しんだりします。また,傾きが45°ぐらいになってから,ディスクの中心に指先を当てて下に押さえ付けます。パタンと止まるかと思いきや,押し返してくるような力を感じます。さらに力を入れて押しても,すぐに止めることはできず回り続けます。子ども達はこの遊びが大好きで,交代しながら飽きずに楽しんでいます。高速になると,中心を頂点とした円錐ができたかのようになって,上からの圧力に抗するようになるのではないでしょうか。そう考えたのは,中心ではなく縁を指で押さえると,すぐに止まってしまうからです。 市販品は,摩擦の少ない鏡面で回転させます。少し凹面になっているので,回転中に外に出てしまうことを防いでいるようです。鉄ディスクを鏡の上で回すと,回転時間は比較的長くなりました。固くて凹凸のない机上でもよく回ります。コピー用紙を1枚敷き,その上で回すとどうなるでしょう。ほんの数秒で止まってしまうから不思議です。布の上なら分かりますが,凹凸のない薄い紙1枚でこの変化。少し分厚いキッチンペーパーならどうでしょう。すぐに止まってしまいます。紙1枚で,回転に対する抵抗が生まれるのでしょうか。これは,表面の凹凸による摩擦ではないようです。重さで紙に縁がめり込みます。その際に受ける摩擦が,回転のブレーキになっていると思われます。 このように,回しても止めても面白いオイラーディスク。回転によってメッキが剥がれることもまだありません。1つあると長く楽しめます。重いので,落としてケガをしたり,ディスクの縁を傷つけたりしないよう,広めのテーブルの真ん中で回すようにさせてください。

基本情報

分野 分野2 育てたいもの 管理番号 季節 場所 難易度 危険度
物理 運動 探究心 833 春夏秋冬
春夏秋冬
室内;
室内
普通
普通
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