原体験コラム集

132、「水晶玉?ガラス玉?」

 人を惹きつけて止まない水晶玉。幼少のころ、この丸い透き通った水晶玉が欲しくてたまりませんでした。けれども、店頭の商品が水晶玉かガラス玉かは、専門家でもなかなか区別が付きません。お買い得だと喜んで手に入れた水晶玉が、実はガラス玉だったなどという笑えない話も耳にします。さらに、最近では水晶が人工的に作られるようになり、ガラス玉と水晶玉の値段が変わらなくなりました。ちまたで安価な水晶玉として売られている物はほとんどが溶融水晶といい、人工的に結晶成長させて作ったものです。それでもガラスより水晶が欲しいなあと思うなら、以下の見分け方をマスターしてぜひ水晶玉を手に入れましょう。

 ・見分け方1「熱伝導率の違いを使いましょう」
水晶はガラスの8倍の熱伝導率をもっています。両者とも触った瞬間は、研磨面が美しければ手に密着して冷たく感じますが、そのまま握り続けていると水晶の方が早く温かくなるのです。もっとも、これは同じ大きさの2つの玉を比較してこそ正しく判定することができます。1個しかない場合は残念ながらあまり役に立ちません。

 ・見分け方2「偏光板を使いましょう」
水晶は結晶質、ガラスは非晶質という違いがあります。非晶質ということは、原子が一定の規則をもってしっかり結合しているのではなく、適当な方向を向いてルーズにつながっているということです。ですから、ガラスは年を経ると結合がゆるみ、変形し下の方にガラスが垂れてきます。何百年も経ったヨーロッパの旧家ではそういう窓がたくさんあるそうです。さて、話を見分け方に戻しましょう。結晶構造の違いは偏光板を使うとわかりやすいのです。非晶質のガラスは2枚の偏光板を通しても、ぼやっと暗いままです。一方、水晶は偏光板2枚に挟んでいろいろな角度に回していき、ちょうどよい角度になると、とても美しい虹色の干渉色が表れます。

 この原理を応用して結晶を判定する顕微鏡が偏光顕微鏡です。宮沢賢治が、初めて偏光顕微鏡で鉱物を見たときに、その美しさに感動して「石の中にも宇宙が見える」とつぶやいたのは有名な話です。かくいう私も石の中の宇宙に魅せられた一人です。


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