自然の形と知恵シリーズ

88. 横を向いて咲くユリと上を向いて咲くユリ

  ユリのイメージと言えば、やはり横向きに咲く白い花でしょう。それも、一つの茎の先端に一個の花をつける、いわゆる一茎一花のユリが、夏草の中に少し埋もれて咲く姿は愛らしいものです。野のユリは花の大きさに比べ茎が細く、少しの風にも花首を揺らします。これがユリの名前の由来とも言われています。ユリの属名Lilliumはケルト語で「白い」の意味です。

 ユリ科とヒガンバナ科の花は一見よく似ていますが、ユリ科の花は種子をつける子房の部分が花びらの付け根より上にあります(子房上位)。これに対してヒガンバナ科の花は子房下位です。花を見るとき、子房の位置に気をつけて見れば簡単に区別することができます。

 横向きに咲くユリがユリのイメージにふさわしいと言いましたが、ユリの花の向きに視点を当てて見て下さい。スカシユリなどの上を向いて咲くユリは、花びらの基部に隙間があり下が透けています。透けていないユリの花は横を向いて咲いています。花の基部に水がたまらないようなしくみになっているのです。植物の持つ自然の知恵には驚くべきものがあり、興味が尽きません。

地面が透いてみえるエゾスカシユリ
関西の山百合ササユリ
ヤマユリ


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