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アシハラガニの葦のぼり

  • アシハラガニの葦のぼり

材料

アシハラガニ 葭原

内容

・アシハラガニを観察する。
・葦に登るアシハラガニを探す。
・脚や鋏を使って細い葦の茎を登ることが分かる。

詳細

河口の葭原に生息するアシハラガニには,面白い習性があります。何と,細い葦の茎に登るのです。初めて見たのは15年も前になりますが,それ以来,条件が合わないのか,それを見たことがありませんでした。考えられる条件は,秋になって気温・水温が下がってくること,日が差す好天であること,そして,満潮で葭の根元が水に浸かっていることです。 その条件に合うような日に,加古川の河口に広がる葭原に何度も通いました。しかし,当時のように数多くのアシハラガニが,あちこちで1m以上も葦登りをしている光景には出くわしません。 11月になったというのに,気温は28℃水温は20℃ありました。葦に登る理由の1つであると考えられる「体温低下を日光浴で凌ぐため」には当てはまらない状況です。葦がほとんど生えていない小さな窪地に,潮が入り込んでいます。満潮で潮位は135cm。水深は約10cmで,あちこちにカニの姿が見られました。しかし,葦に登っているカニは1匹もいません。諦めずに身動きせず20分ほど経った時,水面に波紋が生まれ,カニの爪が見えました。数m先ですが,1匹のカニが,葦に捕まって姿を見せています。そして,少しずつ茎を登っていきました。爪も含めた4本の足を使って1本の茎を抱え込み,反対の足でもう1本の茎を抱え込んでいます。その足を,少しずつずらしながら登っていきます。でも10cmほど登ると,ずり落ちてしまいました。以前に見たカニ達は,左右の足でそれぞれ2〜3本の茎をまとめて抱え込んでいたので,体がしっかり固定され,どんどん登っていったと記憶しています。このカニは,まだ葦登りに慣れていないのでしょうか。少し声を出したり物音を立てたりすると,警戒して水中に戻ってしまいます。しばらく粘りましたが,それ以上高く登ったカニはいませんでした。 晩秋になると朝晩は冷え込み,水温が下がります。しかし,日中は小春日和で,20℃以上になる暖かい日もあります。そんな時,引き潮で干潟になっていれば,冷えた体も温まってきます。しかし,満ち潮で潮に浸かれば,冷たい水中にいるしかありません。そこで,日光に当たって体温を上げるために,あの足ではいかにも登りにくい葦の茎を,器用に登るようになったのではないかと考えています。 潮位が150cm以上になり,気温が20℃水温が10℃以下,晴れた日の午前中に,また調査したいと思います。

基本情報

分野 分野2 育てたいもの 管理番号 季節 場所 難易度 危険度
生物 生態 探究心 832
秋
川;海;
川 海
難しい
少し危険
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