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嫌われ者のスギ花粉が見せてくれる「花粉光環」

  • 嫌われ者のスギ花粉が見せてくれる「花粉光環」

材料

デジカメ サングラス 遮光板 マスク

内容

・「花粉光環」の存在を知る。
・スギ花粉が大量飛散している晴天の日に,障害物で太陽を遮って観察する。
・花粉によって日光が回折され,虹色の輪が幾重にも見えることが分かる。

詳細

春は,多くの人が鼻水やくしゃみで苦しめられる花粉症の季節です。そのスギ花粉が,美しい虹色の光の輪を見せてくれることを,最近になって知りました。その名は「花粉光環」。太陽を,虹色の輪が幾重にも取り囲む美しい現象です。 「花粉光環」の光は淡いので,黄砂やPM2.5などが多いと見えにくくなります。それらが洗い落とされた,雨後の雲のない晴天が狙い目です。さらに,風が強く,スギ花粉が大量に飛散していることが条件です。この条件に当てはまる日は,意外に少ないようです。 空に浮かぶ花粉によって日光が回折することで,虹色に分光して見えます。虹の場合,主虹は赤が外側ですが副虹は紫が外側というように,色の並びが反対になります。しかし「花粉光環」は,2重3重に見えても,常に赤が外側になって見えます。これは,屈折と回折の違いによるものでしょうか。 これまで,私を含めて「花粉光環」に気づく人が少なかったのは,見方にコツがあるからです。そもそも,太陽を見上げて見ることがありません。さらに,太陽が目に入ると,眩しすぎて淡い光環が見えません。そこで,太陽光を離れた高所にある障害物で遮ることで,何重にも重なる美しい光環を見ることができるようになります。このような感動体験を与えてくれることが分かれば,花粉は,忌み嫌われる存在ではなくなるかもしれませんね。 写真や動画に撮る時は,どうしても直射日光が何度も目に入りがちです。サングラスで目を守りながら,障害物(街灯,スピーカー,建物の角,木の葉など)で日光を遮るようにしてください。そういう意味で,子どもたちに自由に観察させることは危険だと思います。観察させる場合は遮光板を一人一人に渡し,目を傷めるので決して太陽を直接見ないようにすることを,十分に指導する必要があります。 「花粉光環」は,夕日でも見ることができます。私は10年前の春に丸い夕焼けを見たことがあり,写真に撮っていました。夕日の周りを,オレンジと朱色の輪が取り囲んでいます。黄砂のせいかなと当時は思っていたのですが,どうやらこれも「花粉光環」だったようです。

基本情報

分野 分野2 育てたいもの 管理番号 季節 場所 難易度 危険度
物理 光 植物 探究心 870
春
広場;
広場
難しい
少し危険
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