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生物学の視点での子育て7 朱に交われば赤くなる 

生物学の視点での子育て7 朱に交われば赤くなる 

 古くから「朱に交われば赤くなる」と言われます。人は付き合う友により感化されるという意味で使われる言葉です。  良き友を得ることが肝心ということですが、人間の善悪は一概に判断できませんから、ここでは社会性アメーバを例にとりましょう。社会性アメーバは細胞性粘菌という生物で、環境が良いと単独で自由に活動します。ところが、環境が悪化すると多くのアメーバが小さなナメクジ状の集合体になり環境に適応します。この生物の突然変異体を多数作り、これらを混ぜてその後の発生の様子を観察します。このときに、単独では集合出来ないアメーバが、互いに自分の不足している酵素を補い、正常に形態形成するようになります。また一方では、正常な野生型に、変異型のアメーバを混ぜると、予想に反して正常の野生型まで足を引っ張られて形態形成できなくなります。まさに「朱に交われば赤くなる」の典型です。社会性アメーバの事例は、児童生徒のグループ分け、席変えなどについても当てはまるものです。相補性があると思い組み合わせても、予想通りにはうまくいかないこともあります。

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