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あくびのメカニズム

あくびのメカニズム

 お天気の良い春の日に、お日様ポカポカの窓辺でネコがあくび。なんとも長閑な光景です。  もっとも、あくびの正体は謎が多く、正確には解明されてはいないのだとか。ただ、脳が酸素不足の時に生ずる反応だということはわかっています。口を大きく開けて、新鮮な酸素を取り込むことで脳を活性化させるのです。  あくびは、眠い時やリラックスしている時に、つい、出てしまうものというイメージですね。ところが、あくびをするのは、そのようなのんびりした場面だけではありません。前出のネコを例に取ると、動物病院で検査を受ける診察台の上で大あくびということがしばしばあります。「まあ、この子暢気ね。大物になるかしら」と、相好を崩される飼い主の方もありますが、当のネコは極度の緊張状態。不安や不快な気分で一杯です。この時のあくびは、カーミングシグナル(carming signal)。カーミングとは、落ち着かせるという意味です。ネコだけでなく、イヌにも同様に見られます。中には、叱られる時にあくびをするネコやイヌもいます。叱られてストレスを感じると、「落ち着こう」「落ち着いて」と訴えているのです。また、失敗した時にも、あくびをすることがあります。これは、転移行動の一つです。例えば、高い所に登ろうとして落ちたり、滑って転んだりしたときに見られる行動で、一見、関連のない行動を取ることで、気持ちを切り替えているのです。  そして、このあくびのメカニズムは、ネコやイヌ特有のものでなく、ヒトも同じです。子どもを叱っている時に、あくびをしたからといって反省していないわけではありません。むしろ、「困った」「どうしよう」「ごめんなさい」と大反省していることも。こういう時は、それ以上追い込まないことが肝心ですね。 Ane

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