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アキニレのパズル

アキニレのパズル

 アキニレという木を知っていますか?アキニレは、西日本の山野や河原に自生する落葉高木です。開花時期が秋なので、ハルニレに対してアキニレと言われます。アキニレは別名カワラケヤキ、あるいは、イシケヤキと呼ばれます。つまり、河原に自生するケヤキに似ている木、木材としては、石のように硬い木といった意味でしょう。秋が深まると、樹皮がところどころ剥げ落ちて、木の周りに落ちています。その形が、まるでジグソーパズルみたいだなと、ずっと思っていましたが、ある時、近所の公園を散策していると、アキニレの周りに小学生くらいの子どもたちがたむろしているのに行き合いました。私がそばで見ているのに気づかないほど熱心に、剥がれ落ちたアキニレの樹皮を拾い集めていました。(うん、やはり、剥がれた樹皮は、ジグソーパズルのピースに見える)  子どもたちは、ほとんどのピースを拾い集めると、少し離れた場所に移動。車座になってしゃがみました。年長と思える子どもが、中央の地面に10cmほどの円を書きました。そして、ジャンケンが始まり、何かの順番が決まりました。次に、それぞれが、ピースを一枚ずつ円の中に順番に積み上げてタワーを作っていきます。ピースは、凸凹した不定形なので、どんどん積まれても、なかなか崩れません。それでも、十数段ほど積んだところで、カタリ、カタリと、いくつかのピースが落ちました。子どもたちから歓声が上がり、そのすべてのピースを一人の子どもが総取りしました。どうやら、タワーが崩れるきっかけを作った前の人が総取りできるルールのようです。タワー積み→タワー崩壊→総取りを何回か繰り返して遊び、おしまいに、すべてのピースをアキニレの根元にばら撒いて散会していきました。  2人残った子どもたちが、今度は、文字通りのジグソーパズル。ばら撒かれたピースの中から、一枚を選び、アキニレの幹のくぼみに当てはめようとしますが、うまくいきません。それでも、飽きずにやっていると、そのうちの一つがピタリと収まりました。見ているこちらも、思わず拍手です。私の拍手に驚いて振り返りましたが、少し恥ずかしそうに、けれども、得意そうに笑いました。満足した2人が帰った後、私も俄然やる気になりました。まず、幹のくぼみの一つにに着目。剥がれ落ちたピースの中から、それらしき形のものを10枚ほど選び、片っ端から当てはめました。案外、難しいのです。でも、トライ&エラーを繰り返すと、ピタッと当てはまるものに巡り合います。これが、ほんとうに気持ちいい。手を離しても落ちないのです。気分爽快、大人でも、つい、快哉を叫びたい気分。5つほど成功したところで、足が痺れて終了。多少とも根気が必要なので、誰にでも「おすすめ」かどうかわかりませんが、あの爽快感は、一度、味わってほしいですねぇ。

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