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自然に学ぶ  玉虫の厨子って・・

自然に学ぶ  玉虫の厨子って・・

 法隆寺には、国宝の玉虫厨子(タマムシノズシ)があります。厨子は仏像などをおさめる箱形の容器ですが、周囲の装飾金具の下に、タマムシの羽を貼りつけてあるので、玉虫厨子と呼ばれます。玉虫厨子は、千年以上経過した今も色褪せることなく美しい輝きを放っています。経年の退色がないのは、絵の具などの発色と異なる構造色だからです。  構造色とは、細かい凹凸や粒子から成る多層構造の面に光が当たり、反射屈折し合うことで出現するものです。多層構造がなくなるまで美しく微妙な色を保つことができます。タマムシだけでなく、ルリアゲハなど蝶の羽の輝きも構造色によるものです。暮らしの中には、このしくみを利用して加工した金属製品や繊維製品が溢れています。また、アワフキムシの発泡を応用した節水型浴槽、カタツムリの表面が汚れないしくみを応用した外壁加工、ミノムシの保温のしくみを応用した寝具など、次々と開発されています。私たちの身近な生活には、自然に学ぶことで、意識や生活を変えるヒントがたくさんあります。

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