原体験コラム一覧
科学実験データ一覧

生物学の視点での子育て 13 バチがあたる その1

生物学の視点での子育て 13 バチがあたる  その1

 昔の親は「バチがあたる」という言葉でよく子どもを諭しました。「バチってなぁに?」と子どもが問うと、“してはいけないことをした人に天の神様が与える罰のことだよ”と説明しました。  この説明が子どもに分かるはずはないのですが、なんとなく納得し、空恐ろしいような気になったものです。そして、やはりどういうわけか、子どもたち同士が子どもたちなりのルールを決め、踏み入ってはならない場所、してはいけない事を心得ていました。それらの決まりごとに従うのは、どこかで人智の及ばない神の存在を信じていたからでしょう。当時の社会には、いかにも神が宿る神聖な場所があちこちにありました。子どもの遊び場には神社や不動尊などの神社仏閣があり、村落には必ず道祖神が祭られ、また、近くの山には秋葉様や愛宕様など火の神様としてあがめられる場所がありました。そのほかにも水神様やそれぞれの神様を祀った小さな祠もありました。そして、いずれもその土地の暮らしに根づいたもので「バチがあたる」という言葉に説得力があったのです。  現代の都会にはこうした場所も少なくなり、そのうえ、幼稚園、保育園、学校などの公教育の場では宗教教育ができません。けれども、公教育の場であっても、日本の伝統的な行事や伝承された物語などを通して、自然への畏敬の気持ちを持つ教育はできるはずです。

前のページへ戻る