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生物学の視点での子育て13 絶対的な存在 ?

生物学の視点での子育て13 絶対的な存在 ?

 まだ暗いうちに起きて山頂でご来光を見ようと、子ども達を連れて登山をすることがあります。そうすると、いつもはおしゃべりばかりするいたずら好きの子ども達が、まさに日が昇ろうとする情景を目の当たりにし圧倒され口もきけなくなります。静寂で荘厳な自然の中に居合わせた者全員が共有する瞬間ですが、朝日が昇りゆく感動に、申し合わせたように「おーっ」という声にならない声を発します。  老若男女を問わず、何か期待するとき、あるいは感動や驚きの一瞬、人は静かになります。たくさんの人で埋め尽くされた音楽会や式典でも物音一つしない会場に入るときには、その異様なまでの静けさに気圧され息を呑むことがあるでしょう。  昔の子どもたちは、今の子どもと比べると格段に静かにしていることができました。古い日本の食事の作法として、食事中は黙って食べるという習慣がありましたから、知らず知らずのうちに、姿勢を正し静かにしていることができるようになりました。何と言っても、三度三度の食事の度に静かにさせられるのですから、その効果のほどはてきめんです。そのような土台がありますから、入園式や入学式でも声を出さずに静かにしていることができるようになります。  現在の学校の給食では、おしゃべりもしないで黙々と食べるというしつけは必要ないかもしれません。むしろ和気あいあいと和やかな食事風景が望まれるのでしょう。けれども「いただきます」の真意を考えても、また、静かに待つことができる態度を身につけるためにも、今ひとつ有効な時間として位置づけたいものです。前半は静かに食べ、後半はおしゃべりしながら楽しく食べる方法などもメリハリがついて良いのではないかと思います。  リラックスする方法ばかりが注目されがちですが、多少、襟を正してピンとするような時間も日常的に取り入れることで、リラックスする時間の効果がアップします。緩急自在の力は、リラックスする場面だけでは培えません。

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