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日本人の自然観3  多彩な表現や微妙な繊細さ

日本人の自然観3  多彩な表現や微妙な繊細さ

 日本人は日本の風土の中で育ち日本語を話す民族です。では、日本の風土(自然)はどのようなものでしょう。  自然事象に関わる言葉、例えば風を表す言葉には、「そよかぜ」や「こがらし」あるいは「すきま風」、霧を表現するときも、「もや」「かすみ」「おぼろ」などと微妙な使い分けをします。時雨(しぐれ)や五月雨(さみだれ)は雨の表現、粉雪や牡丹雪は、もちろん雪の表現です。雨と雪が混じれば「みぞれ」と表現します。このような言葉を見れば、科学的には同じような現象のものを微妙に細かく分けていることが分かります。そして、それら事象の差異で分けるだけでなく、季節によって言葉を変えたり、昼の現象と夜の現象で呼び方を変えたり、さらには、地域的な呼び名や微妙な発音の転換も見られ、表現の豊かさは多彩です。言葉の表記も、従来の大和言葉に加え中国から入って来た漢字を取り入れたもの、それを基にした日本独自の仮名書きのもの、さらには、抽象語や総称語も加わり、漢字・仮名混じりの日本語と、やはり多種多様です。日本人の自然観を語るとき、このような多彩な表現や微妙な繊細さとあいまいさを抜きには語れません。

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