子どもの頃、スズメやホオジロなどの小鳥の卵を卵焼きにして食べました。 このとき、巣にある卵を全部採ってしまうと、親鳥が巣を放棄してしまいます。けれども1〜2個残しておくと新たに産み足すので、卵をすべて採ってしまわないのが私なりのルールでした。最近、コウノトリを増やす取り組みで、卵を孵卵器に移して孵化させ巣に戻す方法が、自然状態で孵化させるより多くの雛が得られると知り、子どもの頃に得た智恵に科学的根拠があったと再認識しました。 巣に卵を1〜2個残すのは、当時飼育していたアヒルやニワトリからヒントを得たものです。アヒルやニワトリは放し飼いの敷地に卵を産みますが、産卵場所に1個卵を残して置くと、そこに続けて卵を産む習性がありました。小鳥にもこれを試してみたところ、上々の首尾となったわけです。 卵を産み足す習性をはじめ、行動学で実証された科学的な知識が、子どもの頃の実体験と結びついて、すんなり納得でき、さらなる興味につながっていきました。私の経験を例にとるまでもなく、体験を下敷きにした知識ほど有効なものはありません。