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跳ねないペットボトルに挑戦!

  • 跳ねないペットボトルに挑戦!

材料

水のペットボトル 電子天秤 食紅 垂直落下セット(電磁石+鉄板)

内容

・水を入れたペットボトルを自然落下させ,跳ねずに着地させる。
・水の量を加減して,跳ねる高さが最も低い条件を探し出す。
・着地の衝撃エネルギーは,ペットボトルの変形と水を跳ね上げるエネルギーに使われることが分かる。

詳細

ボトルフリッピングの最後に,水入りのペットボトルを上に振り上げて即座に下のテーブルに叩きつけると,跳ねないでピタッと止まることを紹介しました。上に移動させられた水が下に落ちる際に衝撃を吸収することが,その仕組みでした。では,ただ自然落下させたときはどうなるでしょう。水の量を1/3ほどにしたペットボトルを低い位置から落とすと,跳ねないで着地します。しかし,少し高い位置から落とすと,少し跳ね上がってから着地します。水の量を調節すれば,跳ねないでピタッと着地するペットボトルが作れるでしょうか。 ネットで先行研究を探すと,静岡県の小学6年生(当時)の人(Aさんとします)が,同じような可能性を追求した研究論文に出会いました。たまたまスポーツドリンクのペットボトル2本を地面に落としたそうです。満タンの1本は,重いのに高く跳ね上がりましたが,半分ぐらい飲んで軽くなったもう1本は,少ししか跳ねなかったそうです。そこで,水の量だけでなく,ペットボトルの種類や中に入れるものを変えて試行錯誤されました。その結果,跳ねないペットボトルを作り上げることができたという研究です。そのペットボトルは,水ではなく,1cm角に切ったスポンジたわしを60g入れたものでした。 Aさんと同じように,ペットボトルのフタに鉄板を貼り付け,電磁石でまっすぐ落とす実験セットを使いました。でも,まっすぐに落とすことが難しく,何度も繰り返し実験を重ねました。落下させた高さは約170cmです。使ったのは,全て500mlのペットボトルです。水,スポーツドリンク,お茶,炭酸飲料などで試しましたが,最も良い結果を出したのは,ボトルフリッピングがやりやすかった「奥大山の天然水」でした。水の量は10g単位で増減させ,さらに1g単位で詰めていきました。その結果,86gで最も跳ねる高さが低くなりました(82〜93gで大差なし)。しかし,どうしても,全く跳ねずにピタッと着地するペットボトルを作ることはできませんでした。水ではなく,粘性の高いPVA入り洗濯糊やスライムを入れて実験してみましたが,不安定になって立たせることが難しくなりました。 スローで撮ってみると,床に着地した瞬間,衝撃でペットボトルの下部が少し潰れるように変形します。同時に水がバシャッと砕け散ります。そして,少しボトルが跳ね上がりながら,中では下から水の柱が跳ね上がり,フタ裏にぶつかって弾けます。そして,また下にボトルが叩きつけられると,再び水の柱が跳ね上がって止まるいう動きを見せました。落下によるエネルギーは,ペットボトルの変形と水を動かすことで消費されるので,跳ね上がる高さが低くなるようです。水量が少ないと,水の動きが引き受けるエネルギーが少なくなります。また,水量が多いと,落下によるエネルギー自体が増えるので,変形や動きでは相殺しきれず,高く跳ね上がるのだと考えられます。

基本情報

分野 分野2 育てたいもの 管理番号 季節 場所 難易度 危険度
物理 運動 エネルギー  探究心 851 春夏秋冬
春夏秋冬
室内;
室内
難しい
普通
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