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カブトムシの促成飼育で、3形態の同時観察が可能に!

  • カブトムシの促成飼育で、3形態の同時観察が可能に!

材料

カブトムシの幼虫 マット 飼育ケース・ボトル 断熱された環境 熱源(電気ストーブ等) 貯水槽(アクアリウム等) 

内容

・カブトムシの幼虫を,促成飼育する。
・加温した場所で,幼虫を育てて観察する。
・温度が高い環境で,成長が早まることが分かる。

詳細

動画のトップを見て、違和感を覚えられましたか? 昆虫の完全変態をご存知の人なら、「幼虫と蛹」「蛹と成虫」はまだしも、「幼虫と成虫」が、なぜ同時に存在してるんや!?ということです。 幼虫が蛹になって(蛹化)から成虫に羽化するまで、通常なら約3週間かかります。この時間差が無くなった秘密は、タイトルにあるとおり、促成栽培ならぬ「カブトムシの促成飼育」にあります。 この技法を開発されたのは、カブトムシの幼虫を数千匹飼育され、イベントや教育用に提供してくださっている、和田山町在住、コバヤシ産業会長の小林博氏です。氏は、この活動を20年来行われており、多くの子ども達に忘れ得ぬ感動を与えてこられました。さらに、確実に幼虫が羽化するマットの開発に情熱を注がれ、竹を原料とした独自のマット(インセクトソイル:特許取得済み)を開発されました。 今年も幼虫をいただきに伺ったとき、この促成飼育の成果を見せていただきました。驚愕・感銘でした。子ども達は、いただいた幼虫を飼育しながら、蛹化、羽化と変態していく様子を観察します。ただ、卵・幼虫・蛹・成虫という形態の違いは、画像で確認するしかありませんでした。指導者としても、それに不都合を感じたことはありません。ですから、促成飼育をすることなど、思いもつきませんでした。幼虫と成虫の形態がこんなにも違うのかと眼の前で確かめさせれば,だから,蛹になって体をつくり替える必要があるんだなと,実感できるのではないでしょうか。そういう意味でも、幼虫・蛹・成虫を同時に見たり触ったりできることの教育的意義は、とても大きいと思います。 ノウハウは、かなり本格的です。まず、専用の部屋(コンクリート張り)があります。そこにスチール棚を入れ、幼虫とマット入りの飼育ケースや飼育ボトルをずらりと並べます。床以外を断熱材で囲ってあります。熱源は電気ストーブ。これで、約16〜18℃ほどに加温します。光は必要ありませんが、湿度管理(80〜90%)が重要です。水槽に水をはり、減った分は自動的に注水されるようになっています。 セットしたのが1月21日で、12本のサンプルをいただいたのが4月14日。蛹化した日時は定かではありませんが,すでに2頭が羽化し、残りはすべて蛹化していました。室温が高いので、蛹の期間も短くなっていたのではないでしょうか。 この実験から、カブトムシは,蛹化や羽化する時期を、温度調整によってコントロールできることが分かります。幼虫の一部を冷蔵保存しておけば,羽化した成虫と見比べることができるでしょう。蛹で越冬するNo.467のアゲハチョウやNo.611のモンシロチョウを任意の時間に羽化させる技法は、すでに確立されています。しかし、No.877で紹介した、羽化したての白いカブトムシの美しさに出会えるのは、偶然の産物でした。カブトムシは幼虫越冬ですが,子ども達がその瞬間に巡り会える確率を、かなり上げることができるのではないかと期待しています。

基本情報

分野 分野2 育てたいもの 管理番号 季節 場所 難易度 危険度
生物 生態 探究心 897
春
室内;
室内
普通
少し危険
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