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スズメバチの巣を駆除し,サナギを食した記録

  • スズメバチの巣を駆除し,サナギを食した記録

材料

スズメバチの巣(幼虫,サナギ)

内容

・スズメバチの巣の様子を調べる。
・巣を解体して,成虫・幼虫・サナギを取り出す。
・巣の中で,幼虫が成虫になる過程が分かる。

詳細

7月下旬になって、学校の理科室に、コガタスズメバチが迷い混むことが続いていました。晩秋にオスバチがよく迷い混んできていましたが、時期が違うなと思っていました。その理由が分かりました。3階にある理科室のすぐ下に植わっている、ヒマラヤシーダに巣を作っていたのです。市職員の方が駆除してくださることになりました。取った巣をもらって中を暴き、久しぶりに幼虫やサナギを味わえると期待していたのですが、薬剤を使ったと言うことで処分されてしまいました。 残念至極なので、25年前に中堅4人でコガタスズメバチの巣(学校の生け垣)を駆除した映像(VHS)をDVDに焼いて、アップすることにしました。スズメバチ・バスターズ4の奮闘をご覧ください。 刺されないよう、ヘルメットや厚手のジャケット、手袋などの重装備で臨みました。首筋は、タオルでグルグル巻きです。黒色火薬(イオウ粉+硝酸カリウム+炭の粉を混ぜ,和紙に細長く巻き込んだもの)を作り、煙で燻して仮死状態にする作戦です。煙で燻す人、飛び出したハチを松明の火で焼いたり網で捕らえたりする人、一部始終を実況記録する人と、役割分担も万全です。 キイロスズメバチやオオスズメバチの巣は,秋にかけて巨大化します。それを相手に素人では無理だったでしょう。コガタスズメバチだったので、巣は比較的小さなものでした。ラッキーなことに、出入り口が1つしかありませんでした。赤いセロハンをかぶせた懐中電灯で照らすと、入り口に門番が見えました。火薬に火をつけ、思い切って穴にグイグイ突っ込みました。ハチは煙で仮死状態になると教わっていたのですが、程度が分かりません。怖いので、数分間は突っ込んだままだったでしょうか。ハチが飛び出すこともなく、枝切りばさみで生け垣から切り離して、無事に巣をゲットできました。 職員室で、巣の解体が始まりました。巣の中には巣盤が4枚あり、マンションのような階層構造になっています。長く燻しすぎたため、成虫は死んでいました。中には、針を突き出したまま死んでいる個体も。でも、幼虫やサナギは元気でした。ピンセットで取り出すと、合わせて300以上の収穫になりました。 巣盤の内側の育房(穴)には白いフタが被さっていて、中で幼虫がサナギになっています。中心に近いほど早く蛹化したようで、サナギがすでにハチ色に色づいていました。羽化直前状態です。白いサナギはとても美しいのですが、うっかり床に落とすと、ビチャッと潰れてしまいました。サナギの中身は、まるでヨーグルトのような状態でした。 たまたま1匹の幼虫が,黒くて長いものを出している様子を見ることができました。蛹化前の排糞です。幼虫の背中に見えている黒っぽい筋は背脈管(昆虫の心臓代わりのもの)なので、幼虫が排糞済みか否かは、腹側を見て判別しなければなりません。その点サナギは,間違いなく不要なものが一切含まれていないことになります。サナギで佃煮が作られている理由が納得できました。 いよいよ実食です。生ではちょっと・・・そこで,幼虫とサナギを、から煎りしました。まずは幼虫。恐る恐るかじってみると、中からウンコが! やはり排糞してない幼虫は、まずいそうです。サナギは、さすがに美味い! こってりしていて、チーズのようなコクがありました。見た目も味もグッドなサナギでした。 今後、世界の食糧難を救うのが昆虫食だと言われています。スズメバチが美味いのは分かりましたが、命をかけてまで食べるものではありません。また,今回は煙で燻しましたが,薬剤を使うと食には適さなくなります。手軽で間違いないのはイナゴ(No.627)ですが,セミの幼虫も美味いとされています。次のターゲットになりそうです。 ただ昆虫食にも,アレルギーなどのリスク問題があります。個人差があるのでガツガツ食さず,自己責任で少しずつ様子を見ながら試してみる姿勢が大切です。子どもたちにも,無闇に食べさせない方が良いかもしれません。

基本情報

分野 分野2 育てたいもの 管理番号 季節 場所 難易度 危険度
原体験 動物 食 探究心 905
夏
広場;
広場
難しい
危険
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