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カブトムシの幼虫は,どのようにしてマットに潜るのか調べよう!

  • カブトムシの幼虫は,どのようにしてマットに潜るのか調べよう!

材料

カブトムシの幼虫 マット ジェルポリマー(ジェルビーズ) 炭酸系500mLペットボトル 回転テーブル

内容

・カブトムシの幼虫が,どのようにしてマットに潜るのか調べる。
・ジェルビーズを詰めたペットボトルに幼虫を入れて,様子を観察する。
・体を捻るなど,上手く潜るためのポイントがあることが分かる。

詳細

今年も,たくさんのカブトムシの幼虫を,小林産業:小林ひろし名人からいただきました。 一斉にマットに潜っていく幼虫たち(タイムラプス動画)を見ていて,体のどこをどう使って潜っていくのか気になり,詳しく観察することにしました。 足を使っているようですが,とてもか細いので,グイグイ潜り込む推進力は生まれないでしょう。では,スコップやシャベルの代わりに,大顎でマットを掘り起こしながら潜り込んでいるのでしょうか。この考えもハテナです。 幼虫が潜り終わったマット表面には,渦巻きのような跡が残っていました。 子どもたちに,どのようにして潜っていると思うか,予想を聞いてみました。すると,以下の5つの予想が出てきました。 ア:頭部を動かしてマットを掘る イ:大顎でマットを掘る ウ:足でマットを掻き出す エ:体をうねらせて潜り込む オ:マットを食べて,お尻から出す 果たして,この中に正解があるのでしょうか。 ブラックボックスであるマットを,透明なものに変えたら謎が解けそうだと思いつきました。そこで,100円ショップの園芸用:透明ジェルポリマー(ジェルビーズ)を,炭酸系500mLペットボトルに詰め込みました。それを,幼虫の動きを追いかけやすいように,100円ショップの回転テーブルの上に載せました。 実験・観察前の健康診断です。まずは体長。背中を定規に当て,クルクル回転させて13.6cm。体重は32.3gでした。かなり大きい方です。体温は22.7℃。 どおりで,触ると冷たいわけです。 いよいよ選手入場。位置について,よ〜いドン! どうした!動きません! しばらくしてから,下に向かって潜り始めました。 細い足を使って,ビーズを掻き上げています。大顎を使って,上の方にビーズを押しのけます。 よく見ると,頭部を大きくのけ反らせてから,腹筋運動をするかのように,大きく頭部・腹部を折り曲げ,グググッっと,ビーズを上の方に押し上げています! 押し上げたビーズが落ちてこないよう,細い足で支えてもいます。 その反動で空いた隙間に,体を引きずり込みます。体を収縮させることでズルズルと,後ろから前へ体が移動していきます。 そのうちに,もう一つのポイントに気づきました。それは,体をスクリュー釘のように捻っていることです。この状態でビーズを押し上げると,体の捻りに沿って,真上ではなく斜め上にビーズが運ばれることになります。こうすることで,よりスムーズにビーズの押し上げが可能になりますし,押し上げたビーズが落ちて来にくくなります。幼虫の体は,背面よりも腹部の方がスベスベしています。それは,マット送りをスムーズにするためではないかと思われます。よくできているなあと,感心させられました。 ジェルビーズの深さは約20cmありましたが,底に達するまでに13分ほどかかりました。摩擦が少なくて滑りやすいビーズなので,マットよりも時間がかかったのかもしれません。底では,もうそれ以上潜れないので,グルグルとゆっくり水平回転していました。 一晩経つと,ストレスからでしょうか,底のビーズは液体状の糞で茶色く汚れていて,幼虫は少し上でじっとしていました。居心地が悪そうですし,ジェルビーズの中では蛹室を作れそうにないので「お疲れ様」と,マットに戻しました。 ジェルビーズを使った観察で分かったカブトムシの幼虫のマット潜りのノウハウをまとめると,①頭部・腹部を反り・曲げして,マットを上の方に押し上げる。②体をスクリューのようにねじることで,効率よくマットを上の方に運び上げる。③体を収縮させることで,空いた空間に体を引き摺り込む。 以上の,初めて知ることばかりの観察記録でした。

基本情報

分野 分野2 育てたいもの 管理番号 季節 場所 難易度 危険度
生物 生態 探究心 923
春
室内;
室内
普通
普通
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